目標の立て方
こんばんは、peridotです。
【評価】について前回ツラツラ書いたので、今回は【目標】について書いてみようと思います。
対象者の評価をして、結果を考察したら、次はそこから対象者の【目標】を設定していきます。
この時忘れないで欲しいのは、【誰のための目標か】と言う事です。
自分で勝手に『この人はこうあるべきだ』、『○○が出来るようになったら良いんじゃないか』と決めつけてはいませんか?
ここからはあくまで私の職場(老健)における目標設定の考え方なので、全ての領域に当てはまるとは限りませんが、参考になれば幸いです。
目標を立てる中で対象者本人の希望(ニーズやデマンド)を無視する事は出来ません。
ですが、認知機能の低下により本人の希望が聞き取れ無かったり、明らかに無理な希望(デマンド)だったりする事が多々あります。
そうなるとニーズ(客観的に見て必要としていること)を考えていかなければいけません。
しかし、ニーズはあくまで客観的に見て必要とすることなので、先に書いた『こうあるべきだ』とか『○○が出来るように』と言う目標の押し売りをしてはいけないんです。
評価の所でも書きましたが、対象者がどういう人でどんな生活をしてきたのかを無視してはいけませんし、【予後予測】もしていかなければいけません。
若い方であれば、希望に満ちた目標を立てる事も出来ますよね。
職場復帰とか、車の運転したいとか、旅行に行けるように、なんてデマンドがいっぱい出てくるんじゃないかと思います。そこからニーズを引き出していく事も出来ます。
しかし、老健には高齢者と呼ばれる世代の方達しかいません。
高齢の方達の予後ってどう考えますか?
在宅復帰に力を入れている老健はもう少し選択肢が広がるんですが、私の職場がある地域はどんどん高齢化が進んでいて、老老介護が当たり前だったり、在宅介護が続けられるほどの在宅サービス(受け皿)が無かったりするので、選択肢が限られています。
そのため高齢者の予後として、私は極端かもしれませんが、やはり【最期(死)】を考えます。どんなに努力をしても明らかに最期の時が近付いて来ている世代なんです。
なので、リハビリをして一時的に機能向上しても、また低下してくることは避けられないと考えています。
そんな状態の中でニーズを考えていく・見付けていく事になります。
つまり何が言いたいかと言うと、
①対象者が継続的に生活する場所はどこになるのか
②現在のADL状況は妥当かどうか
③向上なのか維持なのか
この3つを意識して考えて欲しいと言うことです。
家に帰れるのか、施設での生活が主となるのか、この差はかなり大きいですよね。もちろん誰だって自分の家が一番です。
でも、家で一人になってしまったり、家族が介護が出来なかったりと言う環境要因がある場合、在宅復帰はかなり難しいですよね。
次にADL状況ですが、これは老健だからこそ出来ること・出来ないことがあると言うことです。介護士さん達が必ずいるので、介護士さん在りきのADL状況と思わなければいけません。
最後に向上なのか維持なのかは、機能についてですね。対象者の持っている身体機能・認知機能と言った能力の向上を目指すのか維持を目指すのか、の違いと言う事です。
この3つを意識して、さらに行き着く先は【最期の時】と言うことを踏まえると、【未来を見越した今現在】が見えやすくなるのかなと思います。
ちなみに、【最期】と繰り返してますが、これは最後には人は死ぬんだから何もしなくていいじゃない、と言う意味ではありませんよ?
対象者やその家族にとってその時をどういう形で迎える事が最善になるのか、と言う意味です。
人も動物です。生き物です。必ず最後には死が待ってます。
人は死に向かって歩いてるんです。
若い内は死というゴールが遠い事が多いから見えづらいんです。
でも年が増える毎に確実にちょーっとずつ見えるようになるんです。
高齢者と呼ばれる方達の多くがそのゴールが見えてきてます。
その距離、あとどれぐらいと見えるようになってきたその距離をどう進むのか、が私が繰り返す行き着く最期の時です。
最近では終活と言う言葉もあるくらいですからね。
最後までその人らしく生きる。
そのためにOTとして出来ることは何かを考えて欲しいなと思います。
さてさて、ちょっと重い話も出てしまいましたが、どうでしたか?
【目標】の立て方・考え方の参考になるでしょうか?
重い話が出るくらい、リハビリって対象者の生活・人生に直結してます。
責任のある仕事だと思うので、それをちょっとでも実習を通して感じてもらえるといいなと思います。
今回も最後まで読んで頂きありがとうございました。
ひとまずこれで実習・実習生に関してのあれこれは書けたかなと思います。
なので、次回からはホントに思いついた事とか、職場であった事とかを書いていこうと思います。